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当教室と京都大学肝胆膵・移植外科の共同研究の成果がCell Reports Medicine誌に掲載され、プレスリリースを行いました。
このたび、当教室の進藤岳郎准教授が責任著者となり、京都大学肝胆膵・移植外科と行ってきた共同研究の成果をCell Pressの科学雑誌Cell Reports Medicine誌に発表いたしました。
臓器移植は終末期臓器不全に対する根治的治療です。しかしドナーから移植された臓器がレシピエント(患者)の免疫によって拒絶されてしまうことがあります。その原因の1つは、レシピエントの体内で「ドナー特異的抗体(donor-specific antibody: DSA)」という蛋白質ができてしまうことです。
今回、ヒト白血球抗原(human leukocyte antigen: HLA)分子上の構造単位エプレット(eplet)に注目することで、DSAのできやすさを高精度に予測できることが示されました。さらにHLAエプレットは移植後拒絶の治療標的となる可能性まで示されました。
HLAは造血幹細胞移植の成否に直結する重要なバイオマーカーですが、膨大な多型性を持つため免疫学的な機能には不明な点が多く、その臨床開発は途上です。本研究によりHLAの免疫原性を定量化でき、臓器移植や造血幹細胞移植の安全性の向上が期待されます。
Hirata M, Tsukita K, Shindo T, et al.
“Cross-Organ Hierarchy of HLA Molecular Mismatches in Donor-Specific Antibody Development in Solid Organ Transplantations.”
Cell Reports Medicine, Volume 6, Issue 6, 102153, doi: 10.1016/j.xcrm.2025.102153
https://www.cell.com/cell-reports-medicine/fulltext/S2666-3791(25)00226-5
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/90853