教授のひとりごとBlog
年頭所感
2015年1月1日
また新しい一年が始まった。
年頭にあたり、世界の有志の人々にとって、本年が少しでも多くの希望と夢の実現がかなう一年となることを祈りたい。
昨年も大きな自然災害や国際紛争・民族紛争の激烈化など、国内外のあらゆるところで、人々の希望の実現を妨げる痛ましい出来事が発生し続けた。戦後70年が経ち、かつては想像も及ばなかった大量生産・大量消費と高度な情報化が実現したにもかかわらず、われわれの暮らす社会が、好ましい方向に進んでいるのか、飽和期を経て退行に向かっているのか、混迷はますます深まっている。広島においても被爆体験の風化を防ぎ、原爆投下の非人道性をあらためて世界に問うために、節目の年となる今年は多くの事業や式典の実施が計画されている。「人間は自らがつくるところのもの以外の何者でもない」とはあまりに良く知られたアフォリズムであるが、現代ほど、未来を作る責任を担う「市民」として、われわれ一人一人が「自覚的に行動すること」の重要性が問われている時代はない。
筆者がかかわる医学・医療の領域においても、戦後の医育制度が行き詰まりを呈しつつあり、教育研究機関としての大学のランク付けや1979年以来となる医学部新設に向けた動きがいよいよ本格的に具体化しつつある。振り返って大学教員としての自分の足跡を顧みれば、自覚と行動の欠如による怠慢の連続であったと感じることばかりであり、凡俗者にとって克己がいかに困難であるかを思い知らされる。
今年の干支である「乙未(きのとひつじ)」は、対立・相反する力が競いあう意味をもつとのことであるが、まさに、新しい希望と夢の実現に向けて、本年を理想と現実の相剋を克服するための一念発起の年としたい。
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