教授のひとりごとBlog
RIKEJO?
2014年2月2日
世間はSTAP細胞と小保方晴子博士の話題で持ち切りである。この報道を通じて「リケジョ」というキャッチコピーが流行語となりつつあるが、元祖リケジョといえば、ノーベル賞を2回受賞し、パリ大学初めての女性教授となった大傑人マリー・キュリーであろう。彼女のきわめてエネルギッシュな人生にはさまざまな逸話があり、夫ピエールを馬車との事故で失った後、ピエールの教え子と不倫関係に陥り、相手方の正妻からノーベル賞授章式直前に訴えられた上に、関係者の決闘事態にまで至ったというエピソードなどはご存知の方も多いだろう。とにかく多くの誹謗やスキャンダルに巻き込まれた人というイメージがあるが、キュリーの時代のヨーロッパにおいては、女性が研究者になること自体「あり得ない」ことだったので、ずば抜けたKYキャラクターでなければ右にも左にも進めなかったことは全く想像にかたくない。
さて、それから100年を経て、理系職や研究職に限らず、社会のあらゆる領域において多くの女性が活躍する時代となったにもかかわらず、「リケジョ」というコピーがあっさりと流行してしまう背景には、社会における固定概念としての性役割の克服がいかに困難であるかが映し出されているのかもしれない。小保方博士の研究者としての経歴や実績よりも、マスコットや割烹着という「女性的な」アイテムを好奇の的とするような報道に違和感と気恥ずかしさを感じてしまうのは自分が天邪鬼のせいであろうか。
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