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教授のひとりごとBlog

日本版NIHとリサーチユニバーシティ

2013年11月19日

今朝の新聞によれば、利根川 進博士が「日本版NIH」構想への強い危惧を表明しているという。先端医療技術など実用化が見込めるプロジェクトのみに多額の国家予算が注ぎ込まれ、基礎研究分野への予算配分が減少することを懸念してとのことである。

同様の声明は、学術研究懇談会(通称「RU11」)(注1)などからも発表されており、その中でも実用化技術の「ゆりかご」となる優れた学術基盤を形成するために基礎研究の支援策をさらに充実させることが強く要望されている。野次馬席から見れば、財界主導の新産業構想をめぐる大物研究者間・大学間における微妙な綱引きの構図に興味津々といったところである。

日本の研究力強化を目指した事業として、今年は文科省の「研究大学強化促進事業」や「スーパーグローバル大学事業」も注目を集めた。「研究大学」の構想はおそらく米国のリサーチユニバーシティ(Research University, RU)をモデルにしたものと思われ、よく知られる「カーネギー分類」のように(注2)、今後は日本国内の大学もより可視的な形で層別化されて行く可能性が高い。

これらの構想に共通するキーワードは「国際競争力の強化」であるが、われわれは、そもそも誰にとっての競争であるのかをもう一度良く考えてみる必要があるだろう。

(注1) Research University 11. 旧七帝大と慶大・早大9大学の総長によって2009年に設立された学術政策の提言団体。その後、筑波大と東工大が加わり、現在は11大学によって構成されている。

(注2) 米国では、教育機能を重視するLiberal Arts College(LAC)、研究・学術の追求を目的とするResearch University (RU)など大学をその機能的役割によって分類することが一般的となっている。その原型は、1970年代からカーネギー教育振興財団によって行われている「カーネギー大学分類」であり、たとえばRUは研究活動の高さに基づいてさらに3群に分類されている。

http://classifications.carnegiefoundation.org

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