診療案内Clinical activities
診療疾患
広島大学病院血液内科では、「患者さんの福利を第一に」を診療理念として、血液の細胞(白血球、赤血球、血小板)や止血機能に異常をきたすあらゆる疾患の診療を行っています。患者さんのご負担をできる限り少なく、有効性に優れた治療を提供するため、さまざまな新規医薬品を積極的に取り入れており、造血幹細胞移植推進地域拠点病院として全ての移植細胞源を用いた造血幹細胞移植に加え、CAR-T治療も提供可能です。また、中四国地方におけるHIV/エイズ診療拠点病院(ブロック拠点病院)として、HIV診療にも力を入れています。
その他の免疫不全症
「血液がん」(専門用語では、造血器腫瘍といわれます)を含む血液疾患の治療成績は年々向上しています。私たちは、常にその最新の成果を取り入れた診療を行っていますが、残念ながらご病状次第では「治癒」をもたらすことが難しい場合もあります。しかし、そのようなご病状に対しても、充実した生活を続けていただくための医療技術が数多く存在しています。そのため、診療方針の決定にあたっては、患者さんやそのご家族との「対話」を最も重視しています。「最善の診療」「質の高い診療」という目標を言葉として掲げることは容易ですが、「最善」が医療従事者の独善であったり、杓子定規なエビデンスやガイドラインの適用になったりした場合には、患者さんやご家族が納得のいく医療を受けることはできません。私たちは、客観的なデータに基づいてわかりやすい診療方針の説明を行うとともに、患者さん・ご家族の不安や疑問に時間をかけてお答えしていきたいと考えています。ご病状・診療方針などについてお尋ねになりたいことがありましたら、何でもお気軽にご相談下さい。
また、血液疾患の治療中・治療後に発生し得る慢性的な合併症に対しても手厚い医学的管理を実現するため、「かかりつけ医」を持っていただくことをお勧めしており、それぞれの患者さんのニーズに応じて、当科と連携して療養をサポートしていただけるクリニックをご紹介しております。
指導医を含む2-3名の医師が1名の入院患者さんを担当
診療チームは全ての患者さんの病状を把握
多職種診療カンファレンスで治療方針や療養支援の綿密な検討
広島大学血液内科地域連携ネットワーク参加クリニック
(2023年1月現在: 12医療機関、五十音順に掲載)
広島大学病院血液内科と緊密に診療の連携を行いながら、血液疾患の治療中・治療後にも安心して通院できる「ホームドクター」の役割を果たしていただける医療機関です。また、血液疾患に伴う免疫不全時や造血細胞移植後の予防接種には特殊な配慮が必要ですが、これらの医療機関では、当科と共有するガイドラインにしたがって接種を実施していただけます。
創傷の湿潤療法・栄養療法(糖質制限・鉄タンパクetc不足対策)に取り組んでいます。
開発を目指して
広島大学病院臨床研究開発センターと協力しながら、国際的な新規薬剤の開発研究に積極的に参加しております。国内の多機関共同研究グループにも参加しており、現在(2023年1月)は、下記の臨床試験等にご参加いただくことが可能です。
2022年8月1日
高リスク骨髄異形成症候群及び高リスク慢性骨髄単球性白血病
2022年3月7日
再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫
2022年2月7日
同種造血細胞移植(さい帯血移植を除く)の適応となる造血器腫瘍
2021年5月10日
未治療の進行期高腫瘍量濾胞性リンパ腫
UMIN000034113
2019年1月28日
HBウイルス感染歴を有する同種造血細胞移植例
jRCTs071190032
2020年2月27日
再生不良性貧血(ステージ2b以上)
jRCTs041200067
2020年10月29日
FLT3遺伝子変異陽性の再発・難治性急性骨髄性白血病
外来診療
月曜日から金曜日まで毎日5-6名の医師が初診・再診の外来を担当しています。初めての受診をご希望の場合、原則として他の医療機関からの「紹介状」をお持ちいただくようにお願い致します。
外来担当表はこちらをご覧ください。
- 造血幹細胞移植の相談やセカンドオピニオンをご希望の方は、広島大学病院地域連携室(TEL: 082-257-5079)までお問い合わせ下さい。
- 火曜日と木曜日の初診は止血凝固異常症とHIV感染症が中心となっておりますので、ご了承ください。
- 造血細胞移植コーディネーター(HCTC)による造血幹細胞移植の血縁ドナー候補者のための専門外来や移植後の長期フォローアップ(LTFU)外来も開設しております。
入院診療
広島大学病院の一般病棟(9階西病棟)と先進治療病棟において、血液疾患全般の治療を行っています。先進治療病棟には無菌管理加算の基準に適合した個室病床が16室設置されています。入院患者さんの診断と治療方針は、医師・看護師・検査技師・ICT等が参加する全体カンファレンスによって検討しております。また、診療科長・病棟医長・看護師長が毎週回診を行い、常に全患者さんの状態の把握に務めています。
同種造血細胞移植実施件数
実施年 | 血縁者間移植 | 非血縁者間移植 | 同種移植合計 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
末梢血 | 骨髄 | 末梢血 | 骨髄 | さい帯血 | |||
2013 | 0 | 1 | 0 | 6 | 5 | 12 | |
2014 | 2 | 2 | 0 | 8 | 6 | 18 | |
2015 | 4 | 0 | 0 | 5 | 9 | 18 | |
2016 | 3 | 1 | 0 | 8 | 5 | 17 | |
2017 | 4 | 2 | 0 | 5 | 11 | 22 | |
2018 | 3 | 1 | 0 | 3 | 11 | 18 | |
2019 | 1 | 1 | 1 | 3 | 7 | 13 | |
2020 | 1 | 1 | 2 | 6 | 11 | 21 | |
2021 | 4 | 0 | 1 | 3 | 8 | 16 | |
2022 | 0 | 1 | 0 | 7 | 6 | 13 | |
2023 | 0 | 2 | 0 | 7 | 10 | 19 |
診療実績平成30年(2018年)1月~12月の診療統計
1.一般診療患者性別分類
男 | 1110 |
---|---|
女 | 849 |
計 | 1959 |
2.一般診療患者年齢・性別患者数(実数)
性別 年齢 |
男 | 女 | 計 |
---|---|---|---|
0~09歳 | 0 | 0 | 0 |
10~19歳 | 6 | 9 | 15 |
20~29歳 | 54 | 41 | 95 |
30~39歳 | 107 | 54 | 161 |
40~49歳 | 180 | 89 | 269 |
50~59歳 | 168 | 120 | 288 |
60~69歳 | 219 | 201 | 420 |
70~79歳 | 256 | 219 | 475 |
80歳以上 | 120 | 116 | 236 |
不明 | 0 | 0 | 0 |
計 | 1110 | 849 | 1959 |
3.一般診療患者分類別患者数(実数)
男 | 女 | 計 | |
---|---|---|---|
被爆者 | 67 | 45 | 112 |
非被爆者 | 1043 | 804 | 1847 |
計 | 1110 | 849 | 1959 |
4.外来および入院患者疾病別系統分類
疾患名 | 外来患者数 | 本年度 新患者数 | 入院患者数 | |
---|---|---|---|---|
血液疾患 | 白血病 | 179 | 26 | 123 |
骨髄増殖性腫瘍 | 83 | 22 | 6 | |
骨髄異形成症候群 | 79 | 29 | 34 | |
悪性リンパ腫 | 540 | 115 | 270 | |
骨髄腫 | 138 | 36 | 98 | |
再生不良性貧血 | 13 | 2 | 0 | |
その他の貧血 | 85 | 40 | 7 | |
顆粒球減少症 | 20 | 7 | 2 | |
血小板減少症 | 154 | 39 | 12 | |
出血傾向 | 130 | 12 | 8 | |
その他の血液疾患 | 218 | 101 | 35 | |
小計 | 1639 | 429 | 595 | |
血液疾患以外のがん | 39 | 39 | 3 | |
消化器系疾患 | 16 | 12 | 0 | |
循環器系疾患 | 3 | 2 | 0 | |
ドナー | 25 | 21 | 12 | |
その他の疾患 | 237 | 59 | 17 | |
小計 | 320 | 133 | 32 | |
計 | 1959 | 562 | 627 |